信州山里だより

2013-05-15

5月11,12日の山菜採り日記

ようやく山菜本番となってきました。

例年より1週間から10日遅れているような気がします。

今日はたくさんの種類の山菜を採りましたが
その中の個性派を紹介しましょう。

ヤブレガサは名前と形がこれ程一致するものはないと思える程
感動的な姿をしています。
風味はおだやかで適度なキド味があります。
和えものや天ぷらでいただきます。

ヤブレガサ20130512ヤブレガサ.JPG
モミジガサはヤブレガサの仲間で
山菜の宝庫、東北ではシドケと呼ばれ人気の高い山菜です。
滑り易い急斜面に生えていることが多く、採るのがやっかいな
山菜ですが苦労のしがいのあるおいしい山菜です。
キクとセリをミックスしたような独特の香りは
他の山菜にはないものです。
おひたしや和えもの、天ぷらに。

モミジガサ20130512モミジガサ.JPGウドブキは
長野の山菜マニアにとっては1、2位の人気のある山菜です。
正式名はヨブスマソウとイヌドウナの2種類があり、この2つを
総称してウドブキと呼んでいます。

雪深い深山が適地でウドとフキを一緒にしたようなさわやかな
香りは他に類を見ません。
おひたしにするのが一番おいしいと思いますが、
利用価値はたくさんあります。

ウドブキ20130512ウドブキ.JPG山菜採りの最中に見かける山野草も大きな楽しみです。
可憐な3種をご覧下さい。

シロバナエンレイソウ20130512シロバナエンレイソウ.JPG
ヒトリシズカ20130512ヒトリシズカ.JPGイカリソウ20130511イカリソウ.JPG
山の中でおもしろいものを見かけました。

枯れて折れた木の幹ですが、ぽっかりと穴があいています。
キツツキの仲間の巣だったようですが、
幹の半分以上が空洞になっていて、
これが致命傷となって枯れてしまったのかもしれません。

鳥の巣穴のある幹20130511鳥の巣幹.JPG

2013-05-08

ゴールデンウィーク中の山菜採り日記

ゴールデンウィークは何日も山に入りましたが、
山菜の中心はまだ里山で、雪が残る深山は
ようやく芽吹きが始まろうとしているところです。

里山では山菜となる木の芽のシーズンです。

イワガラミは、木や岩や時には地面に広がるつる性の植物。
きゅうりのような香りがする山菜でおひたしや天ぷらに。

リョウブは明るい黄緑の若芽で昔からききんの時の「かてもの」
としてごはんに混ぜられました。リョウブご飯以外でも天ぷらや和えものに。

ご存知コシアブラは今やとてもポピュラーで人気の高い山菜となりました。
人気がありすぎて山道沿いのコシアブラも
タラノメ同様枯れているものが多いです。

イワガラミ20130506イワガラミ.JPG

リョウブ20130506リョウブ.JPG


コシアブラ20130506コシアブラ.JPG


白い花を咲かすモミジイチゴは
とげの鋭い枝に時々痛めつけられますが
6月に成るぽってりとした色の実はとても甘くおいしいです。

オオバタネツケバナはクレソンの兄弟のような存在で、
やはり水辺に育ち、味はクレソンにひけをとりません。

チゴユリは可憐な白い花で魅了しますが、
実は弱い毒があるようです。日陰に群生します。

モミジイチゴ20130506モミジイチゴ.JPG


オオバタネツケバナ2030506オオバタネツケバナ.JPG


チゴユリ20130504チゴユリ.JPG


さて、雪の残る深山はと言うと、ようやくユキザサが出て来ました。

茶花にもなる星を散りばめたような白い花を咲かすユキザサですが
食べてみるとくせがなく、甘みのあるとても優秀な山菜です。

ルイヨウボタンは葉がぼたんの形をしているのでその名がありますが
その独特の姿は枯野の中で目立ちます。
おいしそうな葉ですが食べられません。

雪の残る深山の風景20130506残雪残る深山.JPG


ユキザサ20130505ユキザサ.JPG


ルイヨウボタン20130505ルイヨウボタン.JPG

2013-05-02

4月28,29日の山菜採り日記

ゴールデンウィーク前半3連休のうちの2日間は
戸隠を中心に山に入りました。

好天にも恵まれ、春のどかな光の中、
雪の残る戸隠連峰はことの他美しかった。

戸隠の山並み20130429戸隠.JPGまた、戸隠高原に春を告げる可憐な花達も
その美しさを競い合っていました。

アズマイチゲ20130429アズマイチゲ.JPG

ヤマエンゴサク20130428ヤマエンゴサク.JPG

エンレイソウ20130429エンレイソウ.JPGニリンソウ20130429ニリンソウ.JPG


山菜の方はというと、
四月は低温の日がかなりあってとても遅れています。

そばやのおかみにたずねると、
山菜採りのお客様は空振りのようですよとのこと。

里の春は桜が象徴するように早めに来た感がありますが
山の春は反対のようです。

ただ例年この時期に採れるアミガサタケは豊作でうれしい誤算でした。

アミガサタケは
フランスではモリーユと呼ばれ、フランス料理で人気のキノコ。

トガリアミガサタケ20130429トガリアミガサタケ.JPG


2013-04-24

4月20日の山菜採り日記

今朝は氷点下に近い寒さでとても4月下旬とは思えない気候です。
セーターの上にダウンジャケットという重装備で山に向かいました。

今日は最初に芋井にある「神代桜」を見に行きました。
先週はつぼみだったので多分今日は見頃でしょう。

神代桜20130420ジンダイザクラ.JPG残念ながら上部のほうは花が咲いていません。
神代桜は国の天然記念物のエドヒガンザクラで、高さ20メートル、
根回り9メートルの巨木で推定樹齢は1200年だそうです。

ジュウモンジシダがちょうど採れ頃となりました。
あまり知られていない山菜ですが、
あくがなく、和え物や天ぷらにします。

ジュウモンジシダ20130420ジュウモンジシダ.JPG
シュンランが見頃となって来ました。
林のところどころにひっそりと高貴な花を咲かせています。
花は食用となるのですが、その高貴な姿になかなか手を出すことが
できません。
特別な会の時だけ採ってきて、酢の物や、お吸い物に使います。

シュンラン20130420シュンラン.JPG
ウスバサイシンも暗めの林の中にひっそりと花を咲かせています。
暗紫色の花に見えるのは葉柄で、その奥に小さな花が隠れています。
ウスバサイシンの根は漢方では鎮静、鎮痛剤として使われます。

ウスバサイシン20130420ウスバサイシン.JPG
クロモジの花も咲き始めました。
ツマヨウジのことをクロモジと呼びますが、
クロモジは香りのよい香木でツマヨウジ以外にも
昔は香料として化粧品や石鹸などに利用されました。

クロモジ20130420クロモジ.JPG
春の林の中でひときわ存在感を放つショウジョウバカマ。
鮮やかなピンク色で独特の花形は、単調な林の中の褐色の地面に
軽快なアクセントを作り出します。

ショウジョウバカマ20130420ショウジョウバカマ.JPG

2013-04-17

4月14日の山菜採り日記

桜が散り始めると心の中にあった何となく華やいだ、
何となく浮き浮きした高揚感が薄れて行き、年に数回ある
自分の中の日本人遺伝子を確認する作業が終わります。

ただ私にとって桜が散り始めることは、少しも寂しいことでなく
むしろ嬉しいことなのです。
なぜなら、
いよいよ山菜の本格的な季節が始まろうとしているからです。

という訳で、本日も山に向かいます。

山の桜と言うとヤマザクラが有名ですが、他にもあまり知られていない
桜の木があります。

チョウジザクラは花の形が横から見ると丁字(クローブ)に
似ているのでその名が付いていますが、人知れずひそかに咲いています。

チョウジザクラ

20130414チョウジザクラ.JPG
ウワミズザクラはブラシ状の白い花が特徴で
満開になるとなかなかの存在感です。
今日の状態はまだつぼみですが、このつぼみが珍味となります。
新潟県ではこのつぼみを塩漬けにしてアンニンゴ(杏仁子)
として珍重します。
クマリンの独特の香りと味わいは酒のつまみとしても異彩を放ちます。

ウワミズザクラ(つぼみ)

20130104ウワミズザクラ.JPG

キブシの花も最盛期となって来て、薄黄色の花が山のここあそこに
明るいアクセントを付けています。

キブシ20130414キブシ.JPG

春の花の中でスミレも印象深い花です。
日本には50種類程あるそうですが、なかなか判別が難しいです。
群生したスミレに遭遇すると、
秘密の花園に入りこんだような気がします。

スミレ20130414ミヤマスミレ.JPG

山の春はまだ遅く本格的な山菜採りにはなってきませんが、
カンゾウやニワトコ、ワサビ、スイバなどがたくさん採れました。